いい加減走り疲れた所で立ち止まって良夫ちゃんに電話を掛けた。
目はタクシーを探している。
今居る地点から別の地点へ一気に移動する必要を感じる。
被害額が大きいパチンコ屋は間違いなく警察を呼ぶ。
手下達も避難させる必要がある。
パトロール等されたら、ひとたまりも無い。
良夫ちゃんが電話に出た。
「バレてるよ。追い掛けられた!」
「見てました…」
見んなよ…
恥ずかしいじゃねーか…
「行くなら行きなよ…」
流石に良夫ちゃんも行くとは言わなかった。
僕だから助かったとは思っていない。
あの時、僕は、周りの店員の様子を見る為に、30秒程カウンターに着くまでの時間をロスしている。
良夫ちゃんなら多分その時間は要らなかった。
すんなりカウンターに着いて直ぐに景品を受け取る。
白シャツ達が来る前にギリギリ店の外に出られたように思う。
その後どうなるかは予想の範囲を越える。
仮に、上手く良夫ちゃんが成功していれば、次に行く僕は捕まっていたかもしれない。
良夫ちゃんが成功している以上、僕は絶対止まらない。
続けて直ぐに店に入ったであろう。
その時、計量機の前に白シャツ達は多分居なかった。
カウンターにレシートを出す。
あえなく御用…
ジャンケンの結果が全てではなかったろうか。
僕はツイていた。
それだけの事である。
すぐに手下達に電話を掛けた。
警察のパトロールと、職務質問の可能性を伝えた。
「一カ所に固まるなよ。それと景品を、一人5万は換金して来て。今から10分ぐらいは大丈夫だから急げ。店側がなんかおかしな動きをしたら、全員僕に電話させてな。余った景品は良夫ちゃんに持たせといてくれたら良いから。分かった?」
返事を聞いて電話を切った。
通り掛かりのタクシーを停めて乗り込みながらツルッパに電話をした。
「コンビニにある僕の車に〇国人二人乗ってるから、お前運転して〇駅まで来て。すぐだぞ」
この後も、僕は、幾つも電話を掛け続けた。
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