一人、2、3回の両替をすれば、80万分のレシートは無くなる。
時間に追い掛けられながらも、両替は静かに続いて行った。
僕は途中で、一度店を出て、換金をしている良夫ちゃん達を見に行った。
良夫ちゃんが不安であった。
何を仕出かすか知れた物では無い。
3人が交換した景品は、既に、三分の一が減っていた。
予想よりも早い。
捕まる可能性が低いとは言え舐めすぎはまずい。
店の外に在る、掘っ建て小屋の換金所にも、防犯カメラは付いている。
カメラは、現在のように広角や、望遠や、ズーム機能などは付いていないが、景品を突っ込む穴の前に立つ人間ぐらいはシッカリ写す。
カウンターほどでは無いが、連続換金は危険であった。
換金のスピードを落として、景品の半分を残すように三人に言った。
先に換金所が騒ぎになれば、両替にも当然響く。
冷し中華達に渡す分だけのお金が換金出来れば慌てる必要は無い。
景品にさえ成っていれば、いつ取り替えに来ても問題はどこにも無いのである。
一般のお客さんが景品を持ち帰る事も日常的にあるのであった。
良夫ちゃん達へ換金の指示をして僕は店へ戻った。
手下達と婆さんの両替は問題なく続いている。
僕はパチンコ台のハンドルを握りボンヤリしていた。
問題が起こる雰囲気は全く見えない。
暫くすると、店内放送が流れて、5分後にカウンターを20分ほど閉めると言っている。
残りの両替回数が、5回の時であった。
僕は店を出て手下の一人に電話した。
「カウンター、後5分で閉まるから5人全員でカウンターの前に列んじゃって良いよ。なんも問題ないから。分かった?」
分かったと言う返事を聞いて電話を切った。
僕はパチンコ台に戻った。
少しすると婆さんが先頭でカウンター前に着いた。
直ぐに手下2人が着く。
レディーファーストの積もりであろうか、気味が悪い。
婆さんの両替が終わる前に更に2人が着いた。
間に、一般のお客さんも、手伝いの一般ピーポーも入っていない。
ゴト師5人が列んでいた。
4時40分…
無事に全ての両替が終わった。
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