店を出て、すぐにツルッパから電話が来た。
「ごめん。喫茶店行けなくなった。パチンコやっといて」
何か言っていたが電話を切った。
「よく見れば可愛い女の人だよ…」
そんな様に聞こえた。
続けて電話が来た。
新手の手下が2人着いたと言う。
少し遅れて、一般人だが更に6人来ると言う。
そりゃまた多いな…
しかし、レシートの両替は成功すると思った。
小額のレシートを、人を変えて持ち込ませるなら店側に僕達を止めるスベは無いように思えた。
これらのレシートゴトは現在では当然出来ない。
日本全国、全てのパチンコホールで完璧に防犯対策がされている。
一つの防犯対策ならば、テクニックと根性のあるゴト師は破る。
その数はゴト師全体の1割に満たない。
100人のゴト師が居れば90数人は手だしが出来なくなる。
それはたとえ、やり方が分かっていてもである。
二つ三つの防犯対策になれば、更にその数を減らす。
重なった防犯対策を突き抜けるのは容易ではない。
現在では防犯対策の一つ一つが精度を上げて複合している。
やれば直ぐにお金に為らずに捕まる。
断言する。
レシートゴトが、今でも出来ると言うゴト師やホール側の人間がいるならば、ソイツは大嘘ツキか、間抜けな馬鹿である。
それも余程の間抜けである。
しかしこの当時は出来た。
全ての店では無いが、防犯対策に全くお金を掛けていないホールが多数あった。
それらのホールの防犯対策と言えば、従業員の目だけである。
この日僕は、ゴトは防犯対策の無い店を狙えば良いと言う事を学習した。
新手の手下達が来た事で、良夫ちゃんのドジによる、レシートゴトの崩壊は免れた。
僕達3人は、ナイスガイな店員に完全に記憶されている。
新手が来なければ、この段階で、お手上げであった。
1番攻略しやすい、従業員の目と言う防犯すら、通り抜けられなくなった。
良夫ちゃんは絶対にもう無理である。
僕と婆さんは時間を空ければ、どうにか出来る。
しかし残された時間は限りなく少ない。
そんな状況であった。
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