歳は若く、決して馬鹿そうには見えない。
顔に嫌な感じが無い。
僕に対する態度も丁寧である。
喧嘩は弱そうに見えた。
世の中の悪意をまだ知らない甘ちゃんだ…
コイツなら犯罪に気づけば態度に出る…
咄嗟には何も出来ない奴だと僕は判断した。
隙だらけだ…
まだイケる…
問題なく両替を終えた。
ホール内は相変わらず盛況である。
ユックリと店内を歩き、言い抜けに使える台をに2台見つけた。
大当たり回数が、共に20回を越えて、人が座っていない台である。
店の外に出るとツルッパが歩いて来るのが見えた。
僕は冷し中華に電話を掛けながら店の入口でツルッパを待った。
電話に出た冷し中華に聞いた。
「もうレシート作り向かって来てる?」
「いま出るザンス」
イラッと来た。
冷し中華に文句を言いながら近づいたツルッパにレシートを渡す。
受話器の通話口を押さえて僕はツルッパに言った。
「両替して喫茶店来て」
何か言いかけたツルッパを、手で急かしてゴトに向かわせた。
ツルッパの入店を確認して、僕は手下達の所に向かいながら冷し中華に言った。
「作るレシートは全部、3万円までにして。高額は両替しづらい」
すると冷し中華は嫌がった。
作るのが大変だと言う。
なんでだ…?
作り方が分からない僕には意味も分からない。
しかし引く訳には行かない。
「大変ぐらいだったらヤレや!こっちは捕まんだよ!」
余り聞き分けが悪ければ金など渡さない…
強制送還に脅える〇国人など屁でもない…
この時の僕の〇国人に対する認識は、この程度であった。
後に、彼らの中には本当に危ない奴らが居る事を僕は知る。
冷し中華は、僕の剣幕に気後れしたのか、渋々了承した。
電話を切って離れた所からパチンコ屋の入口を見ていると、ツルッパが出て来て換金所へ向かって行く。
すぐにツルッパに電話を掛けて聞いた。
「カウンターの店員女だった?」
「男だよ」
「あの女見かけなかった?」
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