ウジムシを押さえていた中の、白いワイシャツを着た一人の店員が僕に近づいて来る。
偉い立場のようだ。
ピンチの時には笑う癖をそのまま出しながら僕は白シャツに言った。
「おめえよ、こんな事して間違いましたじゃ済まさねえよ。分かってんのか?」
白シャツは少し驚いた顔をして、僕が渡したカードをサンドに出し入れして試している店員を見た。
その店員は首を傾げながら何度もカードをサンドに出し入れして試している。
表示される数字はゼロ。
カードをどんなに見ても、ただの使用済みカード…
試していた店員が白シャツに首をフリながらカードを渡した。
白シャツはカードの裏表を何度も見ている。
「おい、どうすんだコラ」
そう言いながら僕の腕を掴んでいる店員の髪の毛を力いっぱい引っ張った。
「てめえ、いつまで掴んでんだ。殺すぞ!」
白シャツが慌てて僕を止める為に声を出した。
「すいません!ちよっとやめて下さい!」
僕はすぐに手を離した。
今回は案外チョロかった…
そう僕は思った。
あとはポケットの中身等と言い出す前にサッサと逃げる。
ポケットの中身など見せる必要は、どこにも無い。
しかし、警察など呼ばれたら、逮捕は無いとは言えウザい。
「まあ、良いや… だけど、あそこでお前達が押さえている奴はカタギじゃないと思うぞ。よく知らんけど… 僕は帰るけどアイツは怒るかもよ」
白シャツは慌ててウジムシの方を振り向いた。
両腕と背中のベルトの部分を掴まれて呆然としているウジムシがいる。
馬鹿丸出しの顔に見える。
吹き出しそうな笑いを堪えて言った。
「おい、帰って良いんだろ?僕の出した玉、早く流せ」
白シャツはニブイ奴であった。
判断に迷っている。
僕を追い詰める方法が思い付かないようである。
僕達の居る列は既に騒然としている。
イライラして来た…
「早くしろよ!店中ひっくり返すぞ!!」
そう言いながら近くに座るお客さんの椅子を力いっぱい蹴り上げた。
近付く奴ら全員を殴りたかった。
一般のお客さんは、皆が僕をサゲスむ目で見ている。
その視線が、痛いと同時に怒りを呼ぶ。
椅子を蹴られた若者が驚いた顔で僕を見る。
「なに見てんだ!小僧!!」
白シャツが慌てて言った。
「やめて下さい!」
若者は何も言わない。
キチガイを見る目で僕を見ている。
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