電波ゴト41 〜相棒〜

サンゾクが閉店して、リュウやハツコの打てる店が無くなった。

スネ夫に無理矢理、もう一店舗でカードゴトが出来るようにさせた。

渋るので打ち込む金額を二人で20万円と少なく設定して納得させた。

二人からお金を取る訳にも行かず、僕には何の儲けにもなっていない。

変造カードの期間を通じて二人程楽をした奴らを知らない…

捕まる危険がいつも余り無かった。

稼ぐ金額は、余り多くは無かったが、一日5万円は軽く越えていたであろう。

リュウは申し訳なさそうな顔をするが、ハツコなどは当然だと言う顔をしている。

イヤミを言ってみた。

「ハツコさんは、みんなに守って貰って、お姫様みたいだね」

「そうよ。 私は昔からそう言う扱いなの。 皆が私を放っておかないのよ」

そうハツコは笑わずに言った。

頭に間違いなく虫がワいているアホ女である。

余り長く話しをしていると奇声を上げ出すので危険であった。

なるべく僕は目も合わさないようにしていた。

二人きりになった時など、いつ奇声をあげられるかと思うと、僕はオドオドしてしまう。

それをハツコは、自分の事が好きだと勘違いしたりする。

全てにおいて迷惑なババァであった。

そんなハツコに、一人の男が恋をする…

その男は静かな男であった。

最初にその男と出会ったのは、サンゾクで良夫ちゃんとゴキブリの勝負が終わって、3ヶ月程経った頃である。

目の上に、殴られて出来たと思われる青タンが、色濃く出来ていた。

「そんな顔した奴、連れ廻せる訳ねえだろうが!」

その男の前に立つゴキブリに僕は吠えた。

もう一人、ゴキブリの舎弟が横に立って僕を睨むように見つめている。

「何見てんだよ。下向いてろよ!」

そう言って僕は、舎弟に一歩近づいた。

こんなヘタレ共の下手に出る積もりは全く無い。

すぐにゴキブリが舎弟と僕の間に入って謝り始めた。

「悪い悪い、昨日コイツが絞めた時に顔殴ってさ」

前の日の夜に、ゴキブリから突然電話が掛かって来た。

「二人変造カードやらして欲しいんだけど、駄目かな?」

当然断る…

ヘタレが連れて来る奴はヘタレだと、この時の僕は知っていた。

腐ってもゴキブリはヤクザである。

揉めて、行き着く所まで行けば僕が負ける。

儲けが薄ければ付き合う事は損である。

断られると知っていたのか、ゴキブリはカードの値段を、一枚3千円で良いと言い出した。

普通の手下を、6、7人連れ廻すのと変わらない儲けである。

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