偽造・変造カード40

しかしそれにも限界がある。

自分が打っていられない…

なんのこっちゃである。

更にはゴト師の数が多過ぎた。

一人追い出しても仲間が居て、僕が変造カードをやっているのを確認されれば、間違いなく喧嘩になる。

喧嘩に勝てれば、ソイツらの財布ごと頂けるのだが、負ければ逆の目に遭う可能性が高い。

それに、それはゴトでは無い。

ゴートーだ!

しょせん泥棒なので警察に訴える事は無いだろうが…

スネ夫に頼みたい事は僕が見つけたゴト師の追い出しである。

それによって打ち込まれる金額のコントロールが出来る。

スネ夫にしても助かるのでは無いかと考えた。

追い出し方の指導も出来る。

カード会社に対する言い訳の為に、ゴト師を警察に突き出す事もできる。

カード会社のマークから外されたなら打ち込む金額も上げられる。

問題はスネ夫とのコンタクトの取り方だった。

スネ夫が僕達を見逃したのは、婆さんと良夫ちゃんが年寄りで、弱そうに見えたからである。

僕はそのオマケだ。

そのオマケが出て行ってスネ夫は話しを聞くだろうか?

何ヶ月もの間、婆さん達とすら言葉の交流が無かったのに…

最初の一声が難しいと思った。

僕は犯罪とは無縁のような見た目をしている。

喋り方や態度もそうである。

周りの人はよく言った。

「悪い事する奴には全く見えない。逆に正義の人に見える。でも、お前が一番悪い。悪魔のようだ」

少し付き合っていると同じようなセリフを殆どの人が言った。

失礼だろ!!

なのでスネ夫に喋りかけても怖がられる事は無いと思う。

婆さん達を同伴して喋り掛ければ、イケるような気がする。

本当なら婆さんか良夫ちゃんに行って貰いたい…

しかし、ボケボケが行ったら話しがボケそうで不安であった。

とりあえず婆さんにスネ夫を呼び出させるか…

嫌がらないかな…

「はい分かりました。誘って来ます」

説明も殆どしない内から婆さんは行くと言う。

不安以外の何物でも無い。

スネ夫の店が、終わる覚悟はするしか無かった。

次の日にスネ夫が僕達を帰らせる為、首をフリにホールへと出て来た。

それを確認した婆さんは、菓子折りを持ってスネ夫に近づいた…

止めたんだ…

菓子折りやめろって…

「お世話になってるんだから。せっかく買ったし」

そう婆さんは言った。

違う!

世話などでは無い!

スネ夫は僕達と組んでいる事を、自分で認めたくないんだ。

自分は悪人ではないと信じていたいんだ。

何かあった時の言い訳を用意して措きたいんだ。

僕達と直接接触しなければ、勝手にやられましたと言えると勘違いしてるんだ。

自分をゴマかしていたいんだ。

僕達に、たまに見せる、口をひん曲げた笑いが全てを物語っている。

卑怯…

卑屈…

小心…

自分が賢いと思っている…

そう言う奴なんだ。

婆さんには通じない、僕の考えであった。

「見逃してくれるんだから良い人よ。お礼しなくちゃいけないと思ってたの」

そう婆さんは言った。

なぜか凄く嫌だった。

その時ひとつ思いついた。

この店、潰してやろうかな…

婆さんが誘って、スネ夫が出て来なければ、やってやろうと決めた。

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