偽造・変造カード17

その間リュウは、取り分が安くても良いと言う打ち子を入れて、一台から五万円だけ出させたり、午前と午後二回に分け、三万円づつ出させたりしていた。

なんとか見た目で疑われないようにしたかったのであろう。

小池の取り分は、十万円を越えていなかったと思う。

少しすると小池が話しがあると言って来た。

ハーネスの取り付けを自分でやると言う。

ハツコの車に乗せて、東京まで出て来させ、四人でご飯を食べながら細かい話しを聞いた。

リュウとハツコは相変わらず仲が良い。

カタコトとプッツンの変なコンビである。

僕は小池の話しなど真剣に聞く積もりはない。

勝手に興奮して喋る小池…

「朝早く、週に一度、ホールで一人になれる時間が出来ました!」

興奮気味に小池は言う。

そんな事、関係ない…

お前にゃ無理だ…

しかしリュウは興味を持った。

「機種を移動させれば毎日十万以上出せるヨ」

そう言う問題じゃない…

コイツは必ずしくじる…

小池が捕まった場合の自分の損害を考えた。

警察まで行けば小池は喋る可能性が高い。

小池の土壇場を見た僕にはそう思える。

この当時、僕が乗っていた車や携帯電話は、喋られても足がつかない物であった。

リュウの携帯も当然同じ物である。

簡単に言うと、金融流れとツブシである。

これ以上は書かない。

通称から想像して頂きたい。

リュウが乗り気である以上、リュウに任せる事にした。

結果、週に一度、機種を変えて、ハーネスを付け替える事に決まった。

それでもどうしても、小池は信用出来なかった。

しかし僕は、何も言わずに、リュウと小池のやり取りを聞いていた。

次の日から小池はハーネスの取り付けの練習を自宅で始めた。

機種は、大工の〇さんとパ〇フルと、何かだった…

何か?

忘れた!

取り付けが上手く行った場合の小池の取り分は、僕の10%を渡して15%である。

さらに続くようなら僕とリュウが5%づつ渡す事で話しが付いた。

その時の小池の取り分は僕と同じ25%になる。

台に玉を乗せた形で練習は順調に終了した。

どのハーネスも取り付けに30秒掛からなくなっている。

朝早く小池が一人になれる時間は30分はある。

時間的には余裕であろう。

防犯カメラの録画を24時間しているのかは分からないと小池は言う。

「毎週ハーネス取り替えるんだから、データ的に疑われませんよ。取り付けてる時捕まらなきゃビデオなんか見返さないですし」

そう小池は言う。

そうなのか?

欲に駆られてるだけでは?

「一週間空けた方が良いだろ?」

そう僕は言った。

「多分夜中は録画してないし、抜く分が減るから取り付けたら、すぐ打って平気ですよ」

リュウも小池に同調する。

まあ取り付けてから考えれば良いかと思った。

そもそも成功すると、僕は思っていなかった。

小池は途中でビビってやめる…

そう思っていた。

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