あんな事を悪ければ20枚に1回やるのか?
勘弁してくれ…
五千円カードなら10万円に一回。
どうにかならないのかを聞いてみた。
「一応サンドの鍵も売ってるぞ」
あっ! あの店員が使った奴か!
安いと思って、当然買った。
五千円。
全国共通の鍵。
鍵屋に持って行けば500円でスペアキーが作れた。
ボラれとるがな…
使い方は簡単である。
サンドの下の方の鍵穴に鍵を挿し捻る。
サンドの上の方にある小さなボタンを押す。
カードが投入口から戻る。
隣に一般のお客さんが居れば、下手くそだとバレる事が多い。
堂々とやれば以外と平気であった。
僕は、一般のお客さんを怖がらせるのは嫌いであった。
しかし、仕方なく怖がらせる事は何度もあった。
キレ爺が聞いてきた。
「このエラーカードどうやって持って帰って来た?」
エラーカードは、サンドから出ないのが普通であったからである。
その時の状況を話した。
キレ爺は、こいつアホかと言う顔をして言った。
「危ねえぞ、そう言う時は諦めて逃げろ」
やかましい!
こっちは貧乏なんじゃ!
そう言いたい所をグッと我慢して僕は答えた。
「は~い…」
貧乏に勝る物なし。
この後も、ほとんどのエラーカードを持ち帰った珍しい存在になる。
ただ、お金の為だけにエラーカードを回収したのでは無い。
変造カードを捨てて帰ると、その店では、次からやりづらくなるからである。
キレ爺には聞いていなかったが、鍵を使っても、カードが戻らない事が度々あった。
これは店員が、サンドから出なくなった本物のカードを取り出す時も、起こる現象であった。
その時、店員は、鍵を捻ってサンド自体を一度パチンコ台の横から半分ぐらい引き抜いてから元に戻す。
そうするとカードが衝撃で確実に戻った。
しかし店員でも無い僕がそれをやるのはきつい。
出玉が有る時だけやっちゃった…
隣りの席のお客さんには確実にバレる。
僕も青い顔だが、お客さんも青い顔になる。
何すんだおまえ~みたいな感じであった。
見られても、大概笑ってごまかした。
ごまかせているとは思えなかったけれど…
大概のゴト師(コソ泥野郎)は、何かあると出玉でもゴト道具でも、仲間でも捨てて逃げる。
なぜか僕は逃げなかった。
頭がおかしいとよく言われた。
しかし逃げる奴は必ずどこかで捕まった。
頭に血がのぼって周りが見えなくなり、逃げる事だけに集中するからだと思う。
どんなに追い込まれた状況でも冷静でいられたら、危機からの脱出方法は必ずあった。
それを仲間に教えても、そんな事出来ないと否定された。
そしてそいつは走って逃げる。
犬だって走れば追い掛けるのに。
ここらで変造カードを使ってパチンコをすると、一日いくらぐらいになるかを書いておきます。
ズバリ一日平均70000円。
稼動時間は昼頃から夜10時ぐらいである。
一軒の店でキツイ時などの移動時間も入る。
エラーが出てやりづらくなる時もある。
沢山出る日と、出ない日があるが、一日10万円分のカードを使うと、大体七、八割ぐらいがお金になって戻って来た。
お金でやっていると毎日二、三万円負ける計算である。
負け過ぎだろと思われるかも知れないが、店は、出る、出ないでは選べない。
危ないか危なくないかで選ぶ。
バレずに打つ事に神経を使うから、台選びも安全かどうかが主題になる。
当時の人気機種は【大工の〇さん】
この機種は爆発力が凄かった。
逆にハマリも凄かった。
しかし一日打てば平均が出ていた。
ハマリが深い台だったので、多少回転数が伸びても目立たなかった。
僕の変造カード時代は【大工】で始まり【大工】で終わったような気がする。
一日70000円じゃ8億円には全然届かない…
先の長い、お話しに為りそうである…
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